株価を評価する【II】 ~ PER(株価収益率)について
October 19, 2007 6:53 PM written by Roberto Hongo

今日は株価評価のイロハのイ、株価収益率(PER)について考えます。
『適正株価は何か?』という問いに対して、評価方法(バリエーション指標)は沢山あります。PER、PBR、PSR、EV/EBITDA、DCFなど、略語のオンパレードです。しかし、株価、ひいては株式市場を見る際に忘れてはいけないのは、
『株価は美人投票である』
ということです。つまり、「いい会社」だから株価が上がるのではなく、「いい会社だと多くの人が思っているから」株価が上がるわけです。
これはバリエーション指標においても当てはまると僕は考えていて、PERは市場のプレーヤーが最も使っているバリエーション指標だといえます。
■ PER(株価収益率) = 株価/一株あたり当期純利益
※ 読者様のご指摘訂正しました。>Thanks! Tくん@大学の後輩(未成年)
PERは、『株価/当期純利益』で求める至極単純なものであり、本当に精緻な"適正株価"を求める際は、もっと洗練された(DCF法など)評価方法を使います。
PERで求められるのは、20X(20倍)、15Xという数字だけです。これだけでは、なんだかさっぱりわかりませんね。そこで大事なのが、『相対感』です。
■ 市場平均のPERを見てみる
ここでは、『2006年の当期純利益をベースにしたPER』と、『2007年の当期純利益予想をベースとしたPER』を書きます。経済が成長していれば、昨年より今年のPERが低くなります。
| 06年 | 07年予想 | |
| 日本(TOPIX) | 19.82X | 17.38X |
| 日本(日経225) | 21.51X | 19.05X |
| 日本(マザーズ) | N/A | 90.52X |
| 米国(Dow30) | 16.87X | 15.85X |
| 米国(S&P500) | 18.04X | 16.41X |
| 米国(Nasdaq) | 40.42X | 28.91X |
| カナダ | 19.74X | 17.64X |
| ブラジル | 15.59X | 13.89X |
| ユーロ(STOXX) | 12.90X | 12.73X |
| 英国(FTSE) | 13.44X | 12.49X |
| 香港(ハンセン) | 19.64X | 21.00X |
| 上海 | 53.53X | 46.67X |
| 韓国(KOSPI) | 15.89X | 16.34X |
| 豪州(ASX) | 16.41X | 16.96X |
| インド | 23.82X | 21.79X |
主な市場はこんな感じでしょうか。PERを見る際に、分子の株価は『人がどうみているか』を表しているものであり、分母の当期純利益は『企業の利益がどれくらいか』を表しています。
PERが高いということは、『投資家がその市場(業種、企業)の成長率を期待している』と言い換えてもいいと思います。
また、PERが低いということは、『市場の成長率が低い、あるいはリスクが高い』と見られている、ということです。
■ 業種のPERも大事
国にそれぞれの成長率や経済サイクルがあるように(あるいはそれ以上に)、業種にもサイクルがあります。
例えば、食品セクターなどは、不景気になっても皆食べる量が極端に変わるわけではないので、収益の振れは少ないです。
逆に、海運や建設など、景気敏感な業種は、収益が大きく振れる傾向にあります。
ここでも大事なのは、その業種はどのPERレベルなのか?それに対して、自分が買いたい/売りたい企業は割高なのか?割安なのか?を考えることです。
参考までに、S&P500の10業種のPERを書いておきます。(07年予想PERだけね)
| S&P500エネルギー | 13.55X |
| S&P500消費安定 | 18.67X |
| S&P500テレコム | 16.81X |
| S&P500テクノロジー | 23.24X |
| S&P500ヘルスケア | 17.03X |
| S&P500素材 | 16.81X |
| S&P500一般工業 | 18.15X |
| S&P500公益 | 17.27X |
| S&P500金融 | 12.05X |
| S&P500消費循環 | 19.92X |
■ It's all relative -- 国、業種、過去レンジを見て、最後はArtisticな判断が求められる
アナリストをやっている自分が、一番肝に銘じているのは、「収益予想を当てるだけの人間にならない」ということです。
もちろん、それは大事なことですが、それ以上に大事なのは、「人がその企業をどう見ているか」だと思います。
それを忘れてしまうと、
『この会社は割安だ!!』と言い張って、ずっと割安なまま放置されたり(泣)
『割高だから買えない』と言って、上昇に取り残されたり(号泣)
するわけです。
■ 勝手解釈 『PER水準』
市場、業種、経済サイクルを無視して、僕なりに持っているPERの"基準"を以下に書きます。
【PER30X超】
Appleとか任天堂のように、『長期で続く投資ストーリー』がなければ手をだしません。しかし、景気敏感な業種・企業だと、PERが高くなったときが買い時だったりします(収益が大きく落ち込むから)。マザーズ銘柄ですか?僕の中ではあの市場は"賭場"です。投資したいとは・・・思わないなぁ。
【PER20~25X】
クオリティーの高い、エクセレント企業はここのレンジにおさまります。僕が長年好きな銘柄はここらへんにあります。毎年安定して、15-20%のEPS成長を見せている企業はこのくらいのバリエーション水準です。
【PER15~20X】
クオリティーの高い銘柄で、一時的な要因で売られるとここのレンジに入ります。そういう会社を探すレンジかな。市場平均のEPS成長だったら、だいたいここらへんのバリエーションレベルです。
【PER10~15X】
金融(人のお金を使って儲けているから)とか、商社、エネルギー(原油価格次第で収益が大きくブレるから)とかは、このレンジのPERです。
【PER5~10X】
ここのレンジも結構好き。はずれも多いけど、ときどきビックリするようなバリューがある。
ふぅ・・・10分で書いたので、肩が凝っちゃった。誤字脱字あったら・・・堪忍してけろ。
【百式管理人のコメント】さて今回はPER。どの投資本にも出てくる概念ですね。しかし金融の人がそのPERを見てどう考えるかはなかなかわからないもの。日常的に財務データを見ているロベルトの視点は参考になりますね。
「PERを計算したけど、で?」というときにかなり参考になるのでは。いままではなんとなく20×ならいいんじゃね?とか適当に思っていましたが(いかん、リテラシーが低いのがばれる・・・つか、ばれてるな)、やっぱり業界データやらを見ないといけませんね。株価の分析に正解はないかと思いますが、自分が何の計算をしているかを知りながらじっくり取り組みたいですね。
さ、次はどんな勉強ができるのでしょうかね・・・wktk。
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