ROEのお話から資本コストについて考えてみる
July 11, 2007 10:41 AM written by

capital_cost.jpg

こんにちは。ロベルト本郷です。昨日(おそらく生まれて初めて)、『見た目より若いですね』といわれました。おお。もっといってくれ。僕は褒められて伸びるタイプなんだ。

さて。

前回のエントリーで、ROEについて次のようなことを書きました。

  • ROEは株主から集めたお金で出したリターンから計算される比率であること
  • 無借金だとROEが低くなるということ
  • 日本の企業の多くで「レバレッジが低いことがROEが低い要因の一つである」ということ

今回は前回の続きです。

■ 考察:「資本コスト」という概念

負債とは、銀行(あるいは他の企業、金融機関)からの借金であり、利息を払って返さなくてはいけません。これは会社のリスク度合いによって変化するものですが、通常は、1~3%の利息となります。

これが会社が「借金をする上で負うコスト」になります。一方、貸す側にとっての「リターン」は受け取り利息、あるいは返せない場合に会社の残った財産を請求できる「残余財産請求権」になります。

ここまでは負債の話です。では次に株式について考えてみましょう。

まず、株式に投資する投資家が要求する「リターン」とは何でしょうか?

みなさんもご存知のようにこれは(1) 配当、(2) キャピタルゲイン(値上がり益)の二つが主なものです。

株式は、「残余財産請求権」はあるものの、その優先順位は低く、ほとんどの場合返ってきません。会社がつぶれたら「ゼロ」になると考えてもいいと思います(ちょっと乱暴ですが)。

では、この株式に対して、企業が負うべき「コスト」は何でしょうか?

ここで大事なのは、「株主は配当だけでなく、値上がり益も求めている」ということです。つまり、「配当のみを株主資本コストと同義と見なしてはいけない」というのが僕の意見で、多くの日本企業はここを読み違えているところがあります。

それでは、値上がり益をどうやって評価すればいいのでしょうか?

投資の世界では「Aにお金を投資するということは、そのお金を他に投資していないこと」と考えます(いわゆる機会損失という奴ですね)。

したがって、企業に投資する投資家は、リスクフリー(日本国債の10年債とか)の資産に投資するよりも、日経平均やS&P500など株式指数に連動する商品に投資するよりも、その企業に投資するという行動を選んでいるわけです。そうなると、それらのいずれも上回るリターンが欲しいところですよね。

つまり、株主資本コストとは「リスクフリーレート+リスクプレミアム×β」ということです。だから、無借金で自己資本(株主資本)だけで経営していることは、より高いリターンを本来出してしかるべきである、ということです。

だから、「うちは無借金経営です!」っていって、ROEが4%の会社は、相当恥ずかしいぞっ! ということにもなります。それは「その会社に投資することで、もっと確実なリターンが得られるかリスクが低いところに投資する機会を奪っている」ということなのですから。

【百式管理人のコメント】

さー、熱くなってまいりました。はっきりいって最後の二つのパラグラフでとばしすぎですw(← 僕にとって)。

では復習も兼ねて僕なりに要約してみます。

企業の資金調達には二種類ある。一つは負債、もう一つは株式。負債はいわゆる借金で、いずれ利息付で返さなくちゃいけない。この利息は1~3%ぐらいである、と。

で、株式の場合は株主からお金を借りることになる。その場合の利息(のようなもの)について話しているのだよね、きっと。

で、ロベルト本郷wは「他のリスクのない商品に投資せずにその会社に投資しているので、企業は配当出すだけで満足せずにもっと高いリターンを返すべきだ」と憤慨しているように思える(合ってる?)。

で、ここで前回の話とつながって、ROEの低い日本企業は株主資本でやってるのだから、もっと高いリターンを出すべきだ、といっているのだな。お、なんか金融っぽい言葉いえたぞ。なんかうれしい(でも間違っている可能性もあるw)。

ちなみに「株主資本コストとは『リスクフリーレート+リスクプレミアム×β』ということです」が唐突ですな・・・でもこういう式は彼にとって暗記しているぐらい重要な言葉ということかと(教科書見ながら書いているわけないし)。今回は詳しくつっこみませんが、いずれ詳細な説明を求めてみたいと思います。

さて、ここまでで素人っぽい質問をしてみるぞ、と。

  • 株主資本コストって一般的にどういう数値になるの?これって負債の場合の利息と同じ意味合いだから、%で示されるのだよね?負債の利息が1~3%ってことはもちょっと高くなるってこと?
  • これってつまるところ経営者向けの内容に思えるのだけどファイナンシャルリテラシーをあげたい個人にとってどういう意味があるの?
  • いきなりいまさらな質問だけど「ファイナンシャルリテラシーを高める」ってどういうこと?どこまでできたら「この人、ファイナンシャルリテラシー高いねー」となるの?

いずれ上記に答えてくれることを期待しつつ・・・。

ぶっちゃけていうと普段考えていないことばかりなのでちょっと消化不良気味。でもこうして対話しているうちに「あぁ、こういう風に考えるのね」ということが分かってくるのでは、と思っています。みなさんもゆるりとお付き合いいただければと思います。

この記事のトラックバックURL (トラックバックは承認後に公開されます)

ファイナンシャルリテラシー

最近ファイナンシャルリテラシーを高めていかないと、ä»...

ファイナンシャルリテラシー

レバレッジFX | 2007年07月11日 21:16

コメント一覧

いきなりCAPM(リスクフリーレート+リスクプレミアム×β)とはヘビーですね。
CAPMに関しては以下のような意見もありますのでご参考までに。

http://www.yuichiro-itakura.com/archives/2005/03/03-0855.html

by nak2k | 2007年07月11日 23:20

はじめまして。
大変興味深い内容ですね。

通常、企業が活動する時、資金を必要とします。その資金を集める手段として、『借金』で借りるか『株式』で調達するかの大きく2通りあります。
で、これら調達する時に借金であれ株式であれ、企業が払うコストがかかります。
そのコストは、借金であれば利息になりますし、株式であれば配当や自社株買い、株価上昇などになります。
通常、借金と株式であればそのコストは株式の方が割高になります。

(割高になる理由はたくさんあるのですが、株式の方が借金より投資家にとってリスクが高いからといえます。
例えば、皆さんが日本の国債とイランの国債買うとしたら同じ利息なら日本の国債買いますよね?イランの国債買ってもらうなら利息が高くしないといけない。これはリスク=リターンの考えが働きます。リスクが高ければリターンも高くしろっていう価値観です。
借金と株式を比較すれば株式の方が投資家にとってリスクが高い為、リターンを増やす必要があります。よって企業にとっては株式の方がよりコストが多くかかるということになります。)

そうなると資金調達を株式のみでしている企業は、有利子負債を併用する企業に比べて、コストが割高といえます。

つまり無借金経営の企業はコストが割高な状況で経営しているから、よくないってことですね。

(投資家にとって、株式が借金よりリスクが高いというのは単純に株式は元本保証がないですし、企業が破産した場合でも借金を返す方が優先されます。諸々で株式の方がリスクが高いのです)

と、勝手に付け加えさせていただきました。
少しでも、この駄文でお役に立てればいいなと思いコメントさせていただきました。

大いに日本のファイナンスリテラシーを高めていただきたいと思います。失礼しました。

by pau | 2007年07月12日 02:37

XXX*XXXシリーズをいつも楽しく読ませていただいてます。
私は金融系のお客さんのシステムを開発してますので、VALUE*VALUEはかなり興味ありです。

さて、経営者向けの内容がフィナンシャルリテラシーを高めたい人にとってどのように役立つか?ということについて、コメントさせてください。
結論から言うと、経営者の立場を理解することで、世の中で何が起きているかを理解できるということです。
世の中の人は大きく経営者と消費者に分かれると思います。
消費者として経営者の立場を理解することで、なぜ、この商品を売るのか?どのようにして、儲けがあるのか?という視点が生まれてくるのではないでしょうか?

「この人、ファイナンシャルリテラシー高いねー」というのは、消費者と経営者の関係をお金の面で理解できているということではないでしょうか?

最後に私の経験から、株式と債券の区別を解説する記事があると取っ掛かり易いかもしれません。
株とは何か?債券とは何か?
株を発行する側と買う側、債券を発行する側と買う側の双方の視点で解説する形式等をご検討いただければと思います。

by H.N | 2007年07月12日 09:28

> nak2kさん
ありがとうございます。
板倉さんは実務家なので、CAPMがいかに"机上の空論"なのかをご存じなので、ああいうスタンスになるのだと思います。
金融には大きく分けて、「Primary」サイドと「Secondary」サイドに分かれていて、M&AとかIPO、株式/債権発行などはPrimaryサイド、その後の市場流通はSecondaryサイドになります。
僕はSecondaryサイド、つまりマーケットの側面からいろいろ書いていきたいと思っているのです。
PrimaryとSecondaryの最大の差は、Secondaryは「美人投票」である、ということです。PER、PBR、EV/EBITDA、PSR、CAPM、DCF、、、、どれもアバウトなディスカウントレートや前提数値を入れて計算するGuessの世界です。しかし、世界中の投資家のGuessが集まって、価格形成されているのが株式市場であることから考えると、そのGuessの方法を学んでいくのも重要かな、と思うわけであります。

これからもよろしくお願いします!

by ロベルト本郷 | 2007年07月16日 09:45

> pauさん
ありがとうございます!
というか、僕の方から付け加える内容はまったくございません w
これからもよろしくお願いします。

by ロベルト本郷 | 2007年07月16日 09:47

> H.N.さん
コメントありがとうございます。

「ファイナンシャルリテラシー」っていうと、かっこいいかもしれませんが、結局は会社経営もおうちの家計簿も、ファイナンスなんですよね。

ここでキレキレになっておくと、いい買い物ができたり、貯金が増加していったり、いい会社に投資できたり、結構プラスになることがおおいと思います。 ← 身近過ぎ?

株式と債券の区別、確かに大事ですし、とっかかりとしては良さそうですね。
これからもよろしくお願いします!

by ロベルト本郷 | 2007年07月16日 09:53

コメント投稿 (コメントは承認後に公開されます)

名前
メールアドレス (表示されませんのでご安心を)
URL
情報保存?
コメント
あわせて読みたい

クリエイティブ・コモンズ・ライセンス

ユーザビリティ向上支援ビービット
Usability tested by BeBit

タブブラウザ Sleipnir 公式ページ(上級者向け)

Powered by
MovableType 3.34

フィードメーター - VALUE*VALUE
ワード