企業、投資家のぬるい均衡点【I】~ エージェンシーコストと「モノいわない投資家」の関係 ~
July 30, 2007 3:31 PM written by

こんにちは。ロベルト本郷です。
この2週間、ニュースがたくさんあって、しかも決算期に入っていたためブログ更新が遅れてしまいました。いかんいかん。日曜の夜、Van Halenを聴きながらこれを書いているので、途中でハイになってしまったらどうしよう・・・(ロック聞いて仕事って、おじさんクサイのですかねぇ?)
さて、今日は最近話題の「アクティビスト投資」についてです。
- スティールパートナーズのブルドックソースに対するTOBと買収防衛策発動
- ダヴィンチアドバイザーズのテーオーシーに対するTOBの失敗
- 村上ファンド代表の有罪判決
上記の例などからわかるように、最近「モノいう投資家」がしばかれるのが相次いでいますね。
そこでこのブログでは何回かに分けてこれらのニュースを読み解いていきたいと思います。第1回目はスティール=ブルドックのケースです。
■ 事実
- スティールパートナーズは2002年からブルドックソースに投資していた
- 買収防衛策導入は株主総会で可決している
- 買収防衛策の差し止め訴訟は地裁、高裁ともに退けられ、現在最高裁で争われることに
- しかし、防衛策自体は発動され(世界初!)、スティールは持分が10%→3%に減ってしまったが、23億円のCashをGet!
■ ブルドック防衛策 高裁決定 要旨
【スティールパートナーズについて】
- 『様々な策を弄して、もっぱら短中期的に対象会社の株式を転売することで売却益を獲得しようとし、対象会社の資産処分まで視野に入れてひたすら自らの利益を追求しようとする存在といわざるを得ない』
- 『いたずらに相手方に不安を与えている』
- 『企業価値ひいては株主共同の利益を毀損するものとして信義誠実の原則に抵触する』
【ブルドックの買収防衛策について】
- 『手続き的な観点から少なくとも株主総会の特別決議を経て導入されたものである』
- 『スティールパートナーズは新株予約権の譲渡により、予約権1個につき396円の交付を受けることが予定されており、過度の財産的損害を与えるものとはいえない』
- 『本件においてはこの価格(予約権1個396円)より低額であったとしても買収策としての相当性を欠くものではないとの評価も考えられる』
■ 考察
純粋に「投資」という観点では、スティールパートナーズは大勝利だったというのが僕の意見です。
当初10~20億円の投資に対して、23億円の現金と今や600億円の時価総額の3%の持分もあるというおいしさ(ちょっとはずれますが、防衛策が発動されて新株予約権が発行されるだけで時価総額が変わらないはずなのに時価総額が3倍になっているブルドックソースは謎杉)。
反面、年間で純利益が4~6億円しかでないブルドックソースが23億円も現金で渡すなんて、なんと太っ腹なんでしょう。ブルドックの含み資産は約100億円あるそうですから、あと3回誰かがしかけられるワケですね。
裁判所は本来、防衛策の導入プロセスがフェアであったかのみを判断すべきだと思うのですが、スティールを『様々な策を弄して、もっぱら短中期的に対象会社の株式を転売することで売却益を獲得しようとし、対象会社の資産処分まで視野に入れてひたすら自らの利益を追求しようとする存在といわざるを得ない』と断じるなど、めちゃくちゃ踏み込んでます。
5年持っている株主を「ひたすら短中期の転売」って・・・通常、機関投資家の年間回転率は100%前後(つまり、1年で持ち株が総入れ替わりするということ)ですから、機関投資家は全員「転売者」になるのかな?
・・・とまぁ、皮肉はここらへんにして。
次は「そもそもアクティビスト投資って何よ?」ってことを書いていきたいと思います。
【百式管理人のコメント】さてちょっと忙しかったロベルト本郷wですが、更新再開です。今回は話題のブルドックソースについて(ブルドッ「グ」ではない)。いわゆるTOB(敵対的買収)の話題ですね。
この件については個々人でいろいろな見方があるかと思いますがロベルトの視点が参考になります。
- 投資の観点から見て、どれだけのコストでどれだけのリターンがあったかを見る。
- そのお金がどこから出てきていて、それぞれに対してどれぐらいのインパクトがあるのかを見る(23億円のキャッシュ、という絶対額ではなくて、『年間で純利益が4~6億円しかでないブルドックソースが23億円も現金で渡すなんて、なんと太っ腹』という見方)。
- そう考えるとちょっとおかしくね?(『新株予約権が発行されるだけで時価総額が3倍になっているブルドックソースは謎杉』という見方)
TOBはその名前からか、ついつい感情的な議論にもなりがちですが(のっとりとかそういう感じ)、こうして冷静に数字を追う視点も大事ですよね。個人的にはやはり最後の「時価総額いきなり3倍」はどういうからくりなのかが気になってしょうがないです。
ここらへんも次回に説明してもらえるのだろうか。勉強したいと思います。
なお、自分でも調べていてちょっと気になった語句が「ポイズンピル」。恥ずかしながら初めて知りました。これは単純に考えるとずいぶんずるい手段だと思うのだけれどもよく使われる手なのだろうか・・・。こちらもロベルトが詳しければ教えてもらいたいところ。
Info: ファイナンス | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0) | ↑


